CD「ジャズ 夏のはなしです」収録曲について その2

 童話「ポラーノの広場」、戯曲「ポランの広場」に登場する2曲。

「ポラーノ・・・」ではミーロが、「ポラン・・・」では牧者が歌う ♪ 牧者の歌。

もう1曲は山猫博士とファゼーロが歌う ♪ ポラーノの広場の歌(つめくさの花の咲く晩に)。

 

  ♪ 牧者の歌 の元歌は、Flow Gently,Sweet Afton という英国の古いホームソングです。

 この歌の歌詞は、あの「蛍の光」の原曲 ♪ AULD LANG SYNE の詩を書いたことで知られているスコットランドの詩人ロバート・バーンズによるもので、日本でも戦後、唱歌として歌われていたようで、ご高齢の方には知っていらっしゃる方も多いようです。

 賢治はこの ♪ Flow Gently,Sweet Afton を知っていて、ミーロや牧者に「替え歌」にして歌わせているわけですが、賢治の弟・清六さんの記憶の中の話で、“この曲が載っている「HOME SONGS」という楽譜集が家にあった”と言っています。

 この楽譜集は、1900年代初めごろOliver Diston Companyから出版されたもので、正式なタイトルは、「HOME SONGS for Mixed Voice」(写真)

確かに120曲以上もの曲が載っている中に ♪ Flow Gently,Sweet Aftonが載っていました。

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 賢治は実際にこの曲を聴いたと思われますが、当時いろいろな演奏者のSPㇾコードが出ていました。手に入ったものだけでも、H・ウィザースプーン、R・ミラー、女性ではO・クラインが歌ったもの。演奏だけのものではビクター・ミリタリー・バンド

などなど。歌がない方が替え歌を作りやすいのでは?という見方からビクター・ミリタリー・バンド盤ではないかという方もいるようです。

 

 もう1曲の山猫博士とファゼーロが歌う ♪ ポラーノの広場の歌(つめくさの花の咲く晩に)の元歌は米国で古くから歌われている曲で ♪ In The Good Old SimmerTime

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 CDには米国で人気が高かったコーラスグループ Haydn Quartet の歌を取り上げました。Sousa's Band(吹奏楽版) が本命盤といわれていますがCD制作段階では見つけることができませんでした。しかし、その後偶然かのように突然現れびっくり!さらに驚いたことに届いたのは6インチ盤(ドーナツ盤より一回り小さいサイズ)。

 加えて同じ時期に Haydn Quartet 盤の6インチ盤も見つかり本当にびっくり。前回紹介の2枚に加えて短期間にこんなに手に入れることができたこと。

 賢治が、いや賢治さんの目に見えない力がどこか働いているようで何とも不思議な感じがしました。

写真左 Sousa's Band 右 Haydn Quartet    つづく